COMSAの新たな方針となる、CORE、HUB、NEM、SYMBOL、mijinの5つを活用した暗号資産とならないトークンの発行支援事業について
2020年5月20日
テックビューロホールディングス株式会社とテックビューロ株式会社は、今後も国内外において、ブロックチェーン上のトークン発行支援を軸としてCOMSA事業を継続しますが、NEMとその進化型CATAPULTエンジンによるSYMBOL(次世代NEMの名称)、そしてそれらと共通するエンジンを搭載したプライベートブロックチェーン製品mijinを主軸とし、暗号資産や電子記録移転権利にあたらない企業トークンの活用を視野に事業方針への軌道修正を検討します。
はじめに
COMSAのICO後に関連する規制の方向性が示され、様々なICO案件を中断せざるをえなくなってから2年以上が経過しました。それ以来、我々からの情報発信とコミュニケーションが最小限に制限されている状況が未だに継続し、トークンホルダーの皆様もそのことについて違和感を感じていることを十分に理解しておりますが、この停滞した環境こそが、事業を前進させたいと考えている我々にとって最も大きなストレスとなっています。 明確なガイドラインが示されない中、我々も当初に想定していたトークン機能のほとんどが実装できず、非常にもどかしい思いをしておりますが、そのような中でも、COMSAに光を見出してくださっている方々には深謝の意を表します。
2020年5月の法改正とリスク
2020年5月1日に施行された改正資金決済法では、「仮想通貨」という呼称が「暗号資産」に改められました。また、同日に施行された改正金融商品取引法では、新たに「電子記録移転権利」が創設され、セキュリティトークンの範囲が明確化されました。そして、ようやく今回の法改正に沿う形で、限定されていたトークンホルダー間とのコミュニケーションやトークン機能の実装が緩和されると期待しておりましたが、そこではICO実施の礎と方向性が示されたのみに留まり、結果としてICOと事後活動におけるリスクがより一層浮き彫りになりました。暗号資産についても、株式市場同様に相場操縦行為や風説の流布が明確に規制される方針が示されたからです。
法改正自体については暗号資産の発展につながる前向きなものであるものの、相場操縦行為や風説の流布に関しては課徴金などの行政罰が未だ定められておらず、もしそれらに該当した場合には、金融商品取引法では最も重い制裁の類型に入る直接刑事罰を受けるリスクがあります。
これは、トークン発行者であるテックビューロ株式会社だけではなく、COMSAトークンホルダーにも同様に係るリスクです。そのため、我々自体がまずそのリスクを回避することは、同様にトークンホルダーの今後のリスク軽減と利益向上につながることになります。
現時点では、ICOやSTOの業界団体において、情報開示に関する詳細なガイドラインが未だに存在しておりません。我々とトークンホルダーの利益を保護するためにも、既存トークン発行者としましては、ブログやSNS、チャット上での情報発信の許容範囲とそれに係るリスクの度合いが正確に計りかねるため、現在も対外的な活動範囲を限定された且つ事務的な情報の開示と発表に留めざるをえない状況です。
それは、COMSAトークン発行者である我々とトークンホルダー間でのコミュニケーションにおいても同様のことが言えます。我々が管理するTelegram上のCOMSA公式チャットルームに関しても、情報開示の責任やコミュニティの監督責任がガイドラインに未だ示されていない状態で運営を継続することは、上述の理由から、我々の事業存続だけではなく、ボランティアであるモデレーター、チャット参加者、そしてトークンホルダーを含む全ての当事者への甚大なリスク要因となります。
現在、テックビューロホールディングス株式会社では日本国外の、テックビューロ株式会社では国内のICOソリューションをそれぞれ展開しておりますが、双方ともに主として国内で業を営む以上は、両社ともにこれらリスクを慎重に考慮せねばなりません。
COMSA公式チャットルームの一時停止
そのリスクを回避する方法として、我々はCOMSA公式チャットルームでのユーザーの書き込み権限を一旦停止することを決定しました。書き込み権限停止への期限は2020年5月31日17時となりますが、それまでは既存のモデレーションルールにて管理対応を続けます。期限の到来後は、ボランティアモデレーターのモデレーション権限を外し、我々が管理権限を継続して、チャットルーム自体はそのままTelegram上に残留します。
新たにICOに関する情報開示やコミュニティ運営管理の基準が業界団体のガイドラインにて制定された後に、それらを精査し準拠できることを判断した上で、公式チャットルームの再開を検討します。
お問い合わせに関しましては、引き続き公式ウェブサイトCOMSA.ioの連絡フォームにて対応させて頂きます。
法改正に準じた新たな事業方針への軌道修正
先述のような、完全に可視化されていない甚大なリスクを前提として、今後の新たな規制や制限を模索しながらの事業継続は非常に消極的なものとなります。その沼から離脱してCOMSA事業を前進させるためには、今回の法改正にて明確となった枠の外側を活用することがもっとも最善な方向性であると判断しました。
そこで我々は、暗号資産という枠から外れた形で各パブリックブロックチェーンと、COMSA CORE、HUB、mijinを利用することによって、既存のリソースや経験を最大に活かしながらトークンビジネスを支援する事業方針へと軌道修正することを検討しております。
提案済みのCOMSAトークンの機能
COMSAが順調に契約を進めていた他社のICOが唐突に制限されて以来、我々はこれまでCOMSAトークンのあらゆる使い道を模索して参りました。しかしそこから2年半が経過した法改正後も、ICOについてはしかるべきガイドラインが依然定められていないため、ホワイトペーパーにて提案したトークンホルダーへのインセンティブが実施可能であるとは未だに明確には言い難い状態です。
また、電子記録移転権利となるセキュリティトークンを発行するSTOや、それ以外の暗号資産となるユーティリティトークンを発行するICOも、当初の通り長期的な戦略の一部として考慮しておりますが、必要とされる証券業や交換業の資格や今後のガイドライン制定への待ち時間を考慮すれば、目先の事業としては迅速な動きを阻害する要因となります。
それだけではなく、先述のガイドラインに加えて、ICOに関する会計基準も未だ定められておらず、STOとICOについては一般企業にとっても実施までの障壁がまだ高く、事業のプロセス化の面からは見通しが立たないと言わざるを得ません。
そして、長期的な戦略としてのSTOとICOに関しては、暗号資産交換所を他社へと譲渡した今は、IEOも想定して、パートナー交換所やパートナー証券会社との業務提携を進める必要があります。
これは、国内の事情に関わらず、テックビューロホールディングス株式会社が展開する海外向けICOソリューションにも同様のことが言えます。昨今の国際事業では、国際標準的なSTOの基準が求められておりますが、依然地域によってその規制がまちまちであり、一貫したソリューションを提供することは困難となっております。
したがって、一旦はセキュリティトークンとみなされる可能性のある機能を全て排除し、未だ解釈が分かれるトークンのBURN、そして実施ができないICOトークン購入時の支払い手段、と検討していた中から現在は実施が現実的ではない機能を全て除外するとすれば、そこに既存の選択肢はなく、残る道は「新機能」のみとなります。
そのような停滞した状況下でも我々が光を見出すことができたのが、長年の経験を最大に活かし、且つSTOとICOのいずれにもあたらない形でのトークン発行と活用を提案するソリューション事業です。
中でも実現可能性が高いのが、NFT(Non Fungible Token)や譲渡制限機能を用いて不特定多数での取引を制限した、暗号資産交換所にて上場不可能なトークンを用いたビジネスモデルの提案です。
新たなトークンビジネスとCOMSAトークン機能の提案
我々が現在、具体的な案として検討と提案を開始したのが、エアドロップを用いた、発行者のみに返送可能なクーポン型トークンの配布です。この手法であれば、既存のCOMSAトークンホルダーや、COMSA顧客のトークンホルダーに対して、その保有数に応じて自動的に様々な特典を配布することができるようになります。
さらに、近い将来にそれらCOMSA関連トークンを上場している、もしくは将来上場を模索している暗号資産交換所と提携することができれば、COMSA関連トークン自体をクーポン型トークンと併せて、クーポン対象の商品やサービスの支払い手段として決済することも可能となります。
通常こう言ったトークンのコントラクト開発には多大な開発とデバッグ工数を要しますが、我々が何年間も経験を培ってきたNEMのモザイク機能を用いれば、最小限の手間で、プロトコルレベルで譲渡不可能であり、且つトークン発行者にのみ返送可能なトークンが発行可能です。
さらに、NEMからカタパルトコアによって進化したSymbolであれば、NEM同様に譲渡制限がプロトコルレベルで設定可能なだけではなく、クーポン発行者や我々が一般ユーザーのクーポン使用時における返送XYM手数料を肩代わりできるため、利用者にとってネットワーク費用が発生しない画期的なブロックチェーン上のクーポンサービスが実現できます。
また、Symbolではアトミックスワップがプロトコルレベルで実現するため、クーポン発行者、我々のようなソリューション事業者、クーポン利用者という三者が関係するような本来は煩雑な取引も、整合性の崩れない原子性を持ったひとまとめの取引として完結するため、非常に完結な取引システムが構築できます。
当初にホワイトペーパーで提案したトークンホルダーへのインセンティブが、規制に準拠した形で実施できる可能性が依然不明瞭な状況では、このような暗号資産や電子記録移転権利ではないトークンを活用したビジネスの提案が、COMSA関連トークンの流動性と機能、すなわちそこからつながるトークンホルダーの利益を高めることができる現在最良の手法であると考えられます。
また、我々が既に提供を開始しているCOMSA COREを拡充することによって、NEM上で発行したモザイクを、Ethereum上のトークンや、我々が開発したCATAPULTコアエンジンを搭載する新世代NEMであるSYMBOL上のトークンと、残高整合性を保ったままで残高を行き来させることも可能です。
特に現状では、Ethereum上のFungible token規格であるERC20やNFT規格であるERC721を標準的なものとして採用を希望する企業も一定数存在することから、それらのトークンも同様にCOMSA COREを拡充することによって対応できます。
そこにさらにCOMSA HUBを導入すれば、トークン発行企業はクーポンとなるトークンをmijinのプライベートブロックチェーン上で管理することができるため、パブリックブロックチェーンに直接触れないままに、それらトークンを内部勘定で管理することができます。
もしいずれかの潜在顧客がトークンのプラットフォームにSYMBOLを採用すれば、我々や提携する交換所が暗号資産建ての手数料を一旦負担することによって、トークン発行企業としては会計上も暗号資産を計上することが一切必要なく、既存の会計基準によって完結したままに、最新のブロックチェーン技術を利用したサービスを構築できることとなります。
我々は、技術的に且つ工数的に実装可能であるところから手始めとして、既存COMSAトークンホルダーに対してのエアドロップを想定し、NEMとEthereumとの両ネットワーク上においてテストトークンの配布実証試験を実施する企画の実現可能性を現在検討中です。
3つのブロックチェーンを2つのCOMSA製品で繋ぐ
結論としましては、COMSAの新たな事業方針では、以下の3つのブロックチェーンを従軸としたサービスを提案・検討します。
- 既に汎用性と堅牢性が証明されているパブリックチェーンであるNEM。
- 新たにアトミックスワップなどの先進性が盛り込まれているSYMBOL。
- 既に数年の実利用の実績を蓄積しているプライベートチェーンであるmijin。
我々が長い年月をかけて開発してきたmijinは、筍のように乱立する単なる実証実験プラットフォームに留まらず、電子投票、バーコードリーダー(IoT)、食肉トレーサビリティ、ポイント勘定など、あらゆる場面で既に実利用がされている、世界でも有数のプライベートブロックチェーン製品です。
そして、上記3つのチェーンを接続してトークン整合性を担保する役割を果たすのが、同様に我々が開発したCOMSA COREとHUBとなります。
3つのチェーンをそれぞれ同時に利用することは、すなわち有事にはいずれかのチェーンに退避をしたり、主となるチェーンを以って主勘定として再度整合性を確保したりと、一定のリスク分散につながります。
通常の暗号資産であれば、こういった手法はホルダーの資産保有量の混乱につながりますが、暗号資産とならないトークンであれば、その特徴を逆手にとった現実的な活用方法が有利となります。
現在我々が提供する製品では、既にCOMSA COREによりBitcoin、Ethereum、NEMといった3つのパブリックチェーンにおけるトークンのクロスチェーン取引が可能であり、COMSA HUBによってプライベートチェーンであるmijinにそれらの勘定を移行できる仕組みを提供しています。
まずはEthereumトークンやNEMモザイクに対応したそ既存の環境を優先的に活用できる範囲から発行支援の提案を再開し、次のフェイズとして、COMSA COREとHUBを以って、NEM、SYMBOL、mijin三位一体のチェーンを抱合したトークン管理環境を視野に検討し、結果的にそれがCOMSAトークンホルダーへの還元となる仕組みの構築を目指します。
アフターコロナの効率化時代に向けて
テックビューロは創業からもうすぐ7年目を迎えようとしておりますが、先述のmijinの実例を含め、ここまでの実績を積み上げるのには我々も大変な苦労をして参りました。しかし、より高い効率化が求められるこのご時世では、過去のレガシーなしきたりや技術に固執していた業界や市場、企業であっても、今まで以上に業務とシステム構築、サービス運営の効率化が余儀なくされることでしょう。
そのような中で、我々は既に実用性と効率が立証されているブロックチェーン技術とその活用経験を以って、アフターコロナの明るい時代に向けて、今後も変わらぬポリシーを貫いたサービス提供を続けていく所存です。
まずは一旦先述のような、現状に即した形の事業方針へと軌道修正を致しますが、今後は国内で新たに制定されるであろうルールやガイドラインに準拠しつつ、本来目指すところのCOMSA事業へと軸を戻しながらサービスの展開をしてきたいと考えております。
我々は、この新たな事業方針が、結果的に暗号資産やブロックチェーン業界の行先に加えて、トークンホルダーの皆様の明るい未来にも繋がるよう尽力して参りますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。